「目標」「目的」という言葉を皆さんはどのくらい耳にしますか?
組織に属している人なら、一日に一度くらいは聞くのではないでしょうか。
どちらかと言うと、「目標」の方が世の中では使われている頻度が高い気がします。とくに何かを売っている会社は、年間目標、月間目標など設定されていたり、チームで目標が決まっていたりと、当たり前のように目標があるのではないでしょうか。
私は、コーチをやっているので当然のように「目標」をたてます。そして、それが当たり前だと思っていましたし、その方が良いのだと思っていました。本を呼んだり、セミナーに参加しても目標を立てることが大切ということはよく聞きます。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
私なりに考えてみたいと思います。
目標・目的とは
そもそも「目標」「目的」の違いは何なのでしょうか。
目標
「目標」とは漢字であるように目指す場所への標です。ターゲットとも言います。
会社の成績目標やノルマもそうですね。
スポーツの世界で使われているイメージが強いです。〇〇回戦突破や優勝するなどです。
良い目標というのは、具体的だったり、達成度合いが測れたり、期限が決められていたりします。目標設定の方法としてはSMARTの法則が有名です。
SMARTの法則
最短なゴールを達成するための目標設定の仕方
S: Specific = 具体的、明確であるか
M: Measurable = 計測可能か
A:Attractive = 魅力的、やりたくなるか
R:Realistic = 現実的で適切か
T:Timely = 期限が明確か
これは提唱者によって少し意味が変わっていたりもしますが、私が目標設定をするにあたり大切だと思うことは、本当にそれがやりたいことなのか?ということです。
目標設定をする機会があれば使ってみてください。
目的
「目的」というのは、こちらは漢字でいうと目指す「的」とあり、本当に得たいと思っていることです。いわゆるゴールです。
目標が具体的であるのと反対に、目的は抽象的なものです。
ゴールと聞くと具体的な響きがしますが、実際はあってないようなものだと思います。
例えば、マラソンでゴールしたとします。ゴールという言葉はありますが、それは「マラソン」という枠組みの中でのゴールであって、実際はマラソンでゴールすることにより、周りから認められたり、健康体の指標としていたり、達成感といったものを手に入れるためだったりします。
また、自分のためだけではなく周りに勇気を与えたり、可能性を示したり、感動を与えたりすることが目的の場合もあります。
目的というものは、目標の先にあるものです。
また、目的は変わっていくもので、永遠に終わりのないものだと思います。何故かと言うと、目的が現実のものとして見えてくるとまた新しい目的が生まれてくるからです。
達成するかしないかはその人の目的によりますが、どちらにしろ達成した頃には新しい目的ができているのではないでしょうか。
目的・目標は必要!?
ここで本題に入ります。
目的は必要か?
私の考えでは必要だと思います。なぜならば目的がすべての行動のモチベーションになるからです。
モチベーションと言われると、熱量が高くやる気に満ちているイメージをしますが、そこまでものではなく、やろうと思う気持ちです。
さらに目的といっても、意識する目的だけではありません。本能的な目的や無意識での目的も含めます。
たとえば「目の前の水を飲む」ということについて考えてみます。
事例1 水を飲む
ではなぜ飲むのかというと、飲みたいと思ったからです。それ以外にありません。
例えば誰かに「飲め!」と言われてイヤイヤ飲んだとしても、結果として飲むことによる様々なメリットがあるので、無意識で飲みたいと思っているわけです。
目的を考えてみるとどうなるでしょうか。
のどが渇いて水を飲む
喉が渇いていて、飲みたいと思い、水を飲むという行動について考えてみます。
水を飲むことによって何が得られるのでしょうか?
それは、喉が潤い、身体に水分が浸透し、エネルギーになり、生きるための力になります。
つまり、生きるという目的のために水を飲むともいえます。
仮に、「生きる」という目的が無ければどうなりますか?水を飲むという行動をしないかもしれません。
この目的は本能の部分であるため、「生きるという目的がない」ということは考えにくいと思います。(感情で生きたくないと思う人はいるでしょうが)
事例2 働く
「働く」ということについて考えてみます。ひとえに働くといってもその理由は様々です。ただ多くの人に共通する理由がお金を得るということでしょう。
では、お金を得る目的は何なのでしょうか?
人それぞれあると思うのですが、代表的なものを書き出してみます。
1.生活のため
生きていくのに必要なので仕事をしてお金を稼ぐということです。
2.ステイタス
すごいと言われたかったり、良く見せたいという気持ちから、ブランド品や旅行に行くなど豪華な暮らしをすることにお金を使うことです。(ブランド品や豪華な暮らしをすることが悪いということではありません)
3.夢のため
例えば世界一周旅行や宇宙旅行、〇〇が欲しい、リタイヤして田舎暮らしする等、人の数だけ夢があります。その夢を叶えるためにお金が必要という場合は、夢のためといえるのではないでしょうか。
4.人の役に立つ・貢献
お金を稼ぐということ自体が人の役に立つことになりますが、それ以上に寄付をしたり、自然環境の保護に使ったりすることです。
以上の事例のように、行動することには目的があることが分かります。そして、その目的は実は欲求から生まれているのです。
アメリカの心理学者であるマズローが唱えた「マズローの欲求5段階説」というものがあります。
マズローの欲求5段階説について説明した文がありましたので引用すると
この理論では、「人は自己実現に向けて常に成長する生き物」という仮定に基づいて、人の欲求には段階があり、低い段階の欲求が満たされると、より高い段階の欲求を欲するようになると考えます。
欲求は、低い段階から順番に、次のように定められています。
1.生理的欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.承認欲求
5.自己実現欲求
まとめると、人は欲求により目的が生まれるということ。そして、欲求は低い段階が満たされるとより高い段階の欲求を欲するようになるということです。
さらに、私が思うには低い段階の欲求が満たされたからといってもなくなるわけではないということです。そして、自己実現欲求が満たされると、それを他者に与える欲求が強くなる。いわゆる貢献の欲求ですね。
そして、人に貢献する欲求は無限に湧き続けるということです。
つまり、永遠に目的が生まれるということで、目的が必要かどうかというよりは、欲求がある限り目的はそこにあるということです。
目標は必要か?
次に目標についてはどうでしょうか。
私は、本人が何を大切にしているのか、そして距離感によって必要かどうかは違ってくると思います。
何を大切にしているのかというのは、大きく分けて2つのタイプに分かれます。
1つは、目的を達成する事を大切にしている人、2つ目は、目的に向かう過程を大切にしている人です。
目的を達成する事を大切にしている人
このような人にとっては、目標はあるほうが便利なものでしょう。なぜならば、得たいモノ(目的)に対して道筋が見えていない人なら、目標を作ることで迷わなくなるからです。
しかし、目的に対して道筋がハッキリ見える人なら目標を作らなくても目的に向かって進んでいけるでしょう。
後者の人は、たとえ途中で違う道を見つけたとしても、その道が近道なのか遠回りなのか判断できるのではないかと思います。
目的に向かう過程を大切にしている人
このような人にとって目標の必要性はあまりないのかと思います。たとえ目標を設定してもしなくてもその過程を大切にしたいと考えるので、目的に対して最短で行くことがすべてとは思わないのです。
ただ目標を設定することで、結果として求めているものを早く手に入れることになるので、目標を達成する事を大切にしている人にしてみると、「目標は設定した方がいい」と伝えたくなるのですね。
簡単に言うと価値観の違いということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
私なりに分析をして出した結果ですが、主観がかなり入っていると思います。
私自身について考えると、目的を達成する事を大切にしている自分と目的に向かう過程を大切にしている自分が3:7くらいの割合でいると思います。
そのため、目的は必要だが目標はあるほうが便利というくらいの気持ちでいます。
目的や目標が大事かどうかということを書いてきましたが、大事かどうかは人それぞれだということですね。
あなたはいかがでしょうか?
目的や目標の前に、自分が人生において何を求めているのか、何を大切にしているのかを考えてみてください。