仮説・検証のプロセスで問題解決のスピードが速くなる!?『仮説思考』を紹介します

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考える赤ちゃん
  • 雨の日は外に出かけるのが嫌だからレストランはすいているのではないか。
  • 高速道路が渋滞しているなら下道の方が速く着けるのではないか。

このようなことを考えたことはありませんか?

このような思考を【仮説思考】と言います。

「仮説思考を使うぞ」と意識していなくても、このように普段から仮説を立てて考えていることはあると思います。

この【仮説思考】を仕事やプライベートで意識的に使い、問題解決のスピードを飛躍的に向上させる。そのための方法が書かれた本を紹介します。

この記事を読んだだけでも仮説思考についてより詳しく理解でき、以前より仮説思考力が高まるようになるでしょう。

 

仮説思考

著者:内田和成

■本について

読んだきっかけ:知ったきっかけは、以前に読んだ本「鬼速PDCA」の中で紹介されていたことです。この鬼速PDCAはぜひ活用し続けたいと思えるような内容だった為、この本の原点とも言える「仮説思考」をぜひ読んでみたいと思い手に取りました。

所要時間:約3時間30分(236ページ、精読)

評価;★★★☆☆

発行日:2006年3月31日(東洋経済新報社)

※所要時間、評価は、筆者の個人的な感覚です。

■こんな人におすすめ

  • 心配性でなかなか行動できない
  • 情報を集めることが好きな人
  • 仕事のスピードを高めたい
  • 仕事の効率を高めたい
  • 仕事以外のプライベートでも成果を出したい
  • リーダーとして力不足を感じている

■著者について

内田和成(ウチダ カズナリ)

ボストン コンサルティング グループ シニア・ヴァイス・プレジデント、ディレクター。2000年6月から2004年12月まで日本代表を務める。東京大学工学部卒。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。早稲田大学商学学術院教授。

ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心に、マーケティング戦略、新規事業戦略、中長期戦略、グローバル戦略等の策定・実行支援プロジェクトを数多く経験。

著書に、『デコンストラクション経営革命―ビジネスの興廃を制する』(日本能率協会マネジメントセンター, 1998年)、『eエコノミーの企業戦略―日本企業復活・30のヒント』(PHP研究所, 2000年)、『「量」の経営から、「質」の経営へ―転換をどう進めるか』(東洋経済新報社, 2003年)、『論点思考』(東洋経済新報社 ,2010年)などがある。

■本の目次

序章 仮説思考とは何か

  • 情報が多ければ正しい意思決定ができる?
  • 早い段階で仮説をもてばうまくいく
  • 現時点で「最も答えに近い」と思われる答え
  • 仮説思考を身につけるために

第1章 まず、仮説ありき

  1. なぜ仮説思考が必要なのか
  2. 先見力と決断力を支える
  3. 情報は集めるよりも捨てるのが大事
  4. 大きなストーリーが描けるようになる

第2章 仮説を使う

  1. 仮説をもって問題発見・解決に当たる
  2. 仮説・検証のプロセスを繰り返す
  3. 仕事の全体構成を見通す
  4. 人を動かすのに必要な大局観

第3章 仮説を立てる

  1. コンサルタントが仮説を思いつく瞬間
  2. 分析結果から仮説を立てる
  3. インタビューから仮説を立てる
  4. 仮説構築のためのインタビュー技術
  5. 仮説を立てるための頭の使い方
  6. よい仮説の条件―悪い仮説とどこが違う?
  7. 仮説を構造化する

第4章 仮説を検証する

  1. 実験による検証
  2. ディスカッションによる検証
  3. 分析による検証
  4. 定量分析の基本技

第5章 仮説思考力を高める

  1. よい仮説は経験に裏打ちされた直感から生まれる
  2. 日常生活の中で訓練を繰り返す
  3. 実際の仕事の中で訓練する
  4. 失敗をおそれるな―知的タフネスを高める

終章 本書のまとめ

  • 仮説の効用―仕事が速くなる、質が上がる
  • 気持ち悪くても結論から考える
  • 失敗から学ぶ―間違ってもやり直せばよい
  • 身近な同僚・上司・家族・友人を練習台にする
  • 枝葉ではなく幹が描ける人間になろう

あとがき

参考文献

■概要と解釈

ここからは、読んだ中で特に心に残ったことや大切だと思う内容をまとめてみました。

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まず、この本では1章の第一文で仮説思考についてこのように定義しています。

仮説思考とは、物事を答えから考えることだ。ベストな解を最短で探す方法ともいえる。

つまり、仮説思考をすることにより、問題解決のスピードが格段に速くなるということです。

とはいえ、このように言われただけだとすぐには納得することは難しいと思います。しかし、この本を読み進めていくことで、仮説思考の効果やメリットがわかってきました。

それでは、実際に章ごとにどのようなことが述べられているのか、概要を書いていきます。

1章では仮説思考のメリットについて例を用いて説明され、また仮説思考とは反対の概念である「網羅思考」のデメリットについて書かれている

 そもそもビジネスパーソンにとって大切な能力は先見性・決断力・行動力の3つです。

この中で、先見性と決断力については仮説思考と密接な関係があります。先行き不透明なビジネスの世界において、それでもわかり得る範囲で仮説を立て、意思決定していくこと、つまり仮説思考が必要ということです。

 仮説思考が用いられた例として、1993年に行われたサッカーワールドカップ・アメリカ大会アジア予選で、監督として日本代表チームを率いたハンス・オフト監督の「オフト・マジック」について。また、プロ棋士、羽生善治の意思決定に仮説思考を用いられていたということです。

 そして、仮説思考とは反対の概念として「網羅思考」があります。

網羅思考とは、考え得るさまざまな局面から調査・分析を行い、その結果をベースに結論を組み立てることです。

 網羅思考も一見良さそうには思えますが、さまざまなデメリットがあります。

まず、情報が多すぎると意思決定は遅くなるということです。

情報を集めること自体が悪いことではなく、闇雲に情報収集することが間違いで、新たな情報を求めて選択肢が増えてしまったり、知らなかった新事実が出てきたりして、グズグズしたまま意思決定できなくなってしまることになります。

迅速な意思決定のためには、いまある選択肢をいかに絞り込むかという視点で情報収集すべきです。

ちなみに序章で仕事ができる人と遅い人の違いが書かれていました。

仕事ができる人は、人より答えを出すのが早い、つまり早い段階で仮説をもつことで、スムーズに仕事を進めていける人です。

逆に、仕事が遅い人の特徴は、たくさんの情報を集めたがり、情報がたくさんないと意思決定できない人です。

 また、興味深い例が載っていました。

それは、実験する前に論文を書いたという話です。

権威のある免疫学の先生が若かった頃の話ですが、まず論文=結論を書いてから実験をすることで、期待通りの結果が出なかったときでも、その実験は無駄にはならないのです。

そしてはっきりと結果を出せるまでのスピードも上がり、競争にも勝つ方法だということです。

ただし、これは全ての人がこのようにやったほうが良いというわけではなく、経験と実績を積み重ねた上でできるものだと思います。

時計

 次に、間違った仮説を立てたときに仮説思考は時間がかかるのではないかという疑問があります。

著者は、仮説が大きくずれていた場合には、早い段階で間違いに気づくことができ、もともとの仮説が否定される段階で、新しい仮説の芽が発見されていることが多いので、大したロスにはならないと言っています。

また、もっと小さな仮説の間違いはしょっちゅうあるが、それでも網羅的なアプローチより仮説思考の方が早いと断言しています。

さらに、網羅的なアプローチだと浅い分析にならざるを得ない上に、重要な論点もそうでない論点も同じレベルの分析になるのに対し、仮説思考のほうが、問題の本質に迫れる可能性が高く、質が高いものができると言っています。

2章では仮説思考の具体的な使い方が、たくさんの事例と共に紹介されている

2章では順に、

  1. 問題発見・問題解決における仮説思考
  2. 仮説→実験→検証の繰り返しの事例や効果
  3. 全体のストーリーと構成のための仮説思考の使い方
  4. プレゼンなどによる人の心を動かすための仮説思考の使い方

という内容が書かれています。

問題発見・問題解決における仮設思考では、可能性の高い仮説を立て、それを絞り込むということです。

そして、問題を発見したら、具体的な問題解決のための仮説を立てます。そして、さらに立てた仮説を絞り込んでいきます。

また、別の手段として、仮説・検証のプロセスのプロセスを繰り返すことも言っています。

これは、セブンイレブンが例として取り上げられ、商品の陳列方法など、毎日繰り返し仮説と検証をしていることが述べられています。

他にも、具体的に化粧品の売上打開策や加工食品の競争戦略に対する使い方として、仮説思考を大局的に見る方法が解説されています。

この大局観は人を動かすにも重要ということで、仮説思考でプレゼンを作る方法が紹介されています。

3章では実際に仮説を立てるための考え方や頭の使い方が述べられている

コンサルタントが仮説を思いつく順番として、1位がインタビュー中、2位がディスカッション、3位が突然ひらめく、4位がじっくり考えている時に仮説を思いついています。

このように、仮説の立て方は人それぞれです。

この章で紹介されているのは、まず分析結果から仮説を立てる方法です。

一般の人は問題解決に当たり9割を分析に頼るのに対し、仮説思考型の人は2割り程度しか頼りません。むしろ分析に着手する前に仮説を立てています。

次にインタビューから仮説を立てる方法です。

この方法では、いかにきちんとしたインタビューを行えるかが重要です。

効果的なインタビューとは、まず業界の理解や、問題点の発見、仮説を構築するといった目的を定め、深く掘り下げたインタビューをすることで仮説を進化させていくことができます。

そして、仮説を立て方としてヒラメキについて述べられています。

「ヒラメキ」を意図的に生むための頭の使い方として、一言で言えば幅広く考えるということです。

幅広く考えるということは以下のような考え方を持つことです。

  1. 反対側から見る
  2. 両極端に振って考える
  3. ゼロベースで考える
    1. 顧客・消費者の視点
    2. 現場の視点
    3. 競争相手の視点

3章の最後では、良い仮説についてと仮説の構造化について述べられています。

間違っていたから悪い仮説というわけではなく、良い仮説の条件とは、

  1. 掘り下げられている
  2. アクションに結びつく

ということです。

良い仮説を立てることで、問題発見が早くなり、解決策が早く立てられ、解決策が絞り込むことができます。

仮説の構造化することは、問題を明確にしたり、絞り込むことに役立ちます。

4章では実験・ディスカッション・分析の3つについて、仮説による検証について述べている

まず実験の検証について、実際に行われた例を元に検証方法が述べられています。

いわゆるテストマーケティングですが、これをするためにはある程度の企業体力が必要です。

また実験による検証は、向き不向きがあり、大きな意思決定が必要なものや多額の開発費がかかるようなものは向きません。

次にディスカッションによる検証ですが、そもそもディスカッションは仮説を構築する時、検証する時、進化させる時の場合において有効な手段で、仮説思考の基本スキルです。

自分が出した仮説を自分で検証するより他者との対話で検証するほうが時間もかからず楽なことが多いです。

ディスカッションに関して、社内などの身内の中で行うときは、恥を恐れず思い切って考えをぶつけることが大切です。逆に顧客に対して仮説をぶつけるときは、十分に分析をした後にしましょう。

分析による検証を行う際には、緻密は分析は必要ありません。むしろ簡単に最小限の分析で検証すべきです。
クイック&ダーティーが基本です。

分析を行う目的は次の3つです。

  1. 問題を発見する
  2. 相手を説得する
  3. 自分を納得させる

分析の場合も、まずは仮説ありきです。

また分析方法について、特に定量分析の基本技が説明されています。

前述した「鬼速PDCA」にも書かれていた、因数分解による分析もここで説明されています。

分析

5章では仮説思考力を高めるためのトレーニング方法が述べられている

5章は「仮説思考力を高める」ということで、まず最初に「経験に裏打ちされた直感から生まれる」とあります。

少ない情報で仮説を立てるには経験を重ねるしかない。そのためのトレーニング方法は次の2つです。

  • トレーニング1 So What ? を常に考える
  • トレーニング2 なぜを繰り返す

So What ? とは、「だから何?」ということです。身の回りでなにか起きたとき、それが意味することは?と考え続けることです。

なぜを繰り返すことは、トヨタ生産方式と同じく、最低5回はなぜを繰り返すことです。

これらを日常的に行うことで、仮説思考力が磨かれていきます。

さらに、仕事の場だけでなく日常生活の中でも仮説思考の訓練を繰り返すことや、実際の仕事で訓練することも仮説思考力を高めるために有効です。

5章の最後では、「失敗を恐れるな」という精神論が述べられています。

仮説思考力を高めるためには様々な経験が必要で、ビジネス経験が浅いときには、どんどん仮説を立てて試行錯誤して、失敗することが大切だということです。

著者は、ここで「大いに失敗して欲しい」とまで言っています。

あきらめず、失敗をおそれず仮説を構築し、検証し、進化させることを何度も繰り返すことで、仮説の精度は高まり、問題解決のスピードが速くなります。

終章では、本書のまとめとして著者が伝えたいことが13ページにまとまっている

この章ではこれまでのまとめが書かれていますが、本に終章としてまとめが書かれているのは珍しいと思います。

内容は、これまでの内容がまとまっていますが、それとともに著者が伝えたいだろうと思う内容になっています。

もしこの本を短時間で理解したいなら、この章を読むことをおすすめします。

■本から学んだこと

仮説思考というものについて、これまで意識していませんでしたが、この本を読んで知らずに使っていたんだなと思いました。

とはいえ精度が高いものではなく、仮説思考力を高めようとして使っていたことでもなかったため、進歩はほとんど無かったのではないでしょうか。

また、これまでは仮説思考より網羅思考型の考え方をしていたことが分かりました。というのも情報を多く集めることでより正確でよい結論が出せるのではないかという思いがあり、無駄に情報収集に取り組む機会が多かったです。

ちなみに網羅思考は、頭の良い人が多い企業、特に伝統的大企業ほど多いのは納得できました。

仮説思考というのは、思うに考え方の癖のようなものだと感じます。

癖なので、最初はできなくても使い続けることでだんだんと身についていき、またそれに伴って精度が高まってくるのだと思います。

それと仮説思考に関わらず大切なことが、5章や終章で述べられていた、失敗を恐れずチャレンジするということです。

これは、仮説思考力を高めるだけでなく人生において得るものが大きく大切なことです。

子供の頃は、怖いもの知らずにいろいろとチャレンジをしていたけれど、大人になるとだんだん守りに入ってチャレンジをしなくなります。

しかし、そこで勇気を持って失敗をおそれずチャレンジして、そしてどんどん失敗し、改善することで仮説思考力が高まり、問題解決能力や仕事のスピードが速くなります。

以上よりこの本で特に私の学びになったことをまとめると

  • 網羅思考より仮説思考のほうが様々なメリットがある
  • 仮説から考え、実験→検証することで精度を高める
  • 失敗をおそれず仮説思考を元にチャレンジし、失敗することが大切

です。

あなたもぜひ仮説思考を使ってみてください。


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